吉利駅貨物ホーム
晩年は赤字に苦しむ南薩線。しかし、各駅の構内配線を見るとかつて南薩陸上交通の主軸として活躍していたことが伺えます。荒廃した無人駅も当時は交換設備を要し、貨物引き込み線も備えていました。そんな時代の南薩線をタイムスリップして見てみたいものだなと思います。ここ吉利駅も緩やかにカーブした構内に貨物ホームが残っています。対向式の旅客ホームの側石もすべて残っており、往時の賑わいを知る貴重な場所の一つとなっています。
駅前商店の女将さんのお話では、駅長や駅員の社宅も近くにあったということで好ましい私鉄の駅風景が偲ばれます。整然とした駅風景の中できびきびと働く鉄道員、貨物の入れ換え作業をするタンク機関車、多くの旅客を乗せた客車列車。今となっては想像の世界でしかありませんが、確かにこの場所で展開した日常風景でした。
永吉駅で進んでいる整備事業。今後はこの吉利駅でも行われるのではないかと思われます。どのような整備になるのか少々心配しています。素朴な風景が失われないことを祈ります。
写真は吉利駅跡に残る貨物ホーム。石の積み方に興味がそそられます。
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コメント
工事で変貌したであろう永吉、宅地転用されて久しい日置に挟まれ、吉利は、かつての南鉄を偲ばせる駅跡として、貴重な存在ですね。
投稿: hvcc | 2011年3月 9日 (水) 06時46分
駅舎は撤去されたものの、当時の姿をとどめる貴重な駅だと思います。国道に設置された案内板が永吉駅と同じもので、同様の整備がなされるのではないかと危惧しています。
投稿: Nakachan | 2011年3月10日 (木) 01時37分