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2011年6月30日 (木)

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長閑な時が流れるスハフ32273の車内。機関車次位に連結された車内からは貫通路越しに大きなヘッドライトと砲金製のC5550と記されたプレートが覗き、レールの凹凸やカーブに合わせて小さく踊るように揺れ動いています。床下や窓からは炭水車の細かいジョイント音に続いて自車のそれに比べて間延びしたTR23のジョイント音。時折汽笛が聞こえ、踏切警報音が後ろへと飛び去っていきます。ブラストがとぎれ、ジョイントを刻む音が少々ゆっくりとなったかと思えば、床下からゴゥーという制輪子と車輪が摩擦する音。やがて列車は大きく左右に振られ、不規則なジョイント音とともにホームに滑り込んでいきます。

駅のホームからは駅名を繰り返し告げるアナウンス。数人の乗客の入替がありました。その度に車内へ入る吊りドアがごろごろと重々しい音を響かせます。ジリジリジリというベルの音、そして笛の音。窓からブーという低いブザーの音がすると勢いよく汽笛が鳴り、ドレインを切りながらぎっちらぎっちらオールで進む船のように前後に揺すられるように静かに加速していきます。駅入線と同じように不規則なジョイント音とともにポイントをいくつか渡り、駅構内を横切る踏切を過ぎると、再び長閑な時間の始まりです。窓際でほおづえをついて目を閉じる老人、雑誌に目を落とす中年男性、機関車のはき出す煤煙で汚れるのではないかと心配になるような白いよそ行きの服をまとった妙齢の女性。デッキとの仕切り板には北海道の地図。

そんな車内を変わらずC5550のヘッドライトと砲金製のプレートが揺れながら貫通路越しに見つめています。

毎年、レイルマガジンの付録に付いている「蒸気機関車たち」(広田尚敬)のカレンダーを楽しみにしています。上に記したのは6月のカレンダーに添えられた写真の様子を勝手に文章にしてみたもの。よい写真の一つの要素はその中からいくらでも物語を作ることができるものではないかと思っています。

明日から7月。カレンダーがひとつ進みます。7月も素晴らしい写真。役者はキューロクです。

さて、写真はアナグマです。子どもなのでしょうか。あまり人を警戒することなく出てきました。ちょっととぼけた顔をしていますが、足の爪は立派です。

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鉄道」カテゴリの記事

コメント

管理人様、こんばんは。アノ豪雪で明けた元旦から早くも半年・折り返しです、歳を重ねる毎に月日の流れを速く感じると言いますが誠ソノ通りだと実感します。追分区で最後の営業用キューロクが火を落としてから35年、以来・蒸機に限らず沢山の車輛達が後進に道を譲って参りました。私の感覚では新型と言える40系列のDCも古株に数えられ窓が開かない普通列車が当然になっています。振動を抑え空調を効かせるのが鉄道の進化ですが揺れない列車での移動が必ずしも良いとは思えません、味気無い定型文の様な車内アナウンスには浪漫が欠けています。開け放った車の窓から見える市電の芝生、大雨の恩恵でしょうか勢いよく伸びています・ふと草群鉄道だった南薩を回想し悦に浸る信号待ち。又、久しぶりに山川以西の濃緑鉄路を撮りに行こうと考える週末です。

投稿: 夢幻鉄道 | 2011年7月 1日 (金) 22時19分

確かに年月の過ぎ去るのが早く感じられるようになりました。ある説によると年齢を重ねると定型の毎日となり新鮮みが少なくなり、それによりあっという間に時間が経過するのだとか。新しい刺激を積極的に取り入れることで豊かな時間感覚は取り戻せるのかもしれません。山川以西での撮影、長く感じる一日となるかもしれませんね。
私は、夏の甲子園県予選第一日目の観戦に行ってきます。

投稿: Nakachan | 2011年7月 1日 (金) 23時12分

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